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プロフィール

KIKI歌野

Author:KIKI歌野
物書き(♀)です。アダルト表現を含む物語もありますのでご注意ください。ふと訪れた方々が楽しんでくださればうれしいです。
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コメ欄を閉じていますので、ご意見、ご感想、ご連絡などございましたら、こちらまでお願いいたします。

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KIKI歌野の、たあいないものがたり
小説を書いています。官能を含む恋愛小説、普通の小説をぼちぼち載せていきます。たぶんまあまあ面白いです(つまんなくても暖かい目で見守ってください・・笑)


  NEW!!☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 2012年8月
 直己×香枝の最新作『パーフェクト・ビューティー・オブ・ライフ』アップしました。

 ゴメンナサイ、今回は有料コンテンツですが、(1)のみ無料で試し読みしていた
 だけます。

  皆様から寄せられたご感想はコチラ → ★★

 
 2010年11月
 直己×香枝の第四弾『ラヴァーボーイの受難』アップしました。


   インデックス・作品紹介
  初めてのお方はどうぞ。このブログ内の小説ラインナップが一目でわかります。


  キャラ紹介
  小説のキャラ紹介です。「100の質問!」コーナーもあります。お時間のある方はぜひ


  KIKI歌野の日記
  皆様へのお知らせとかお礼とか言い訳とか、いろいろ書いてあります。


  ツイッター
  キャラなりきりつぶやきもやってますので、小説を気に入ってくださった方なら
  楽しめると思います。ぜひのぞいてくださいね(現在停止中・・・ごめんなさい)



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グリーン・グリーン(7)
「んっ・・ん」
 目尻からこめかみにかけて涙の筋が光っている。一心不乱にディープキスを返してくる顔を見つめながら、指を動かし続けた。
「直己・・ひぁっ、あっ、あんっ・・あっ!」
 直己は指をすっと引き抜いた。「あっ、いや!」と抗議する香枝の体をうつ伏せにさせ、腰を持ち上げる。
「お尻もっとあげて」
 香枝は息を切らせながらその通りにした。形の良い尻のなまめかしい白さは、幾ら鑑賞しても足りないほどだ。直己は赤く膨れた秘部にキスをしながら指先を這わせた。クレパスに沿って前後に動かし、焦らすようにゆっくりと中に埋めていく。指をぐるりと回転させると、開いた亀裂から愛液が溢れ出した。
「あっ・・」
 香枝はもどかしそうに腰を動かした。
「は・・い、いや・・お願い・・もっと」
「もっと?」
「激しく・・して」
 彼女の全ての感情のなかで欲情が頂点に立つ瞬間を、直己は見つめていた。つられて煽られる興奮を抑制しながら、再び指の愛撫を与える。柔らかな肉をこんなに滅茶苦茶に犯していいのかと思うくらいに激しく。もう片方の手を前に回してクリトリスをキュッと摘むと、香枝が悲鳴をあげた。
「きゃああっ! ああっ・・あ、あっ!」
 半ば無意識なのだろう、香枝は自ら腰を動かしていた。
「あっ、あんっ、んんっ! イッちゃう・・もうイッちゃうっ・・・」
 やばい。入れたい。
 そう思ったのとほぼ同時に、香枝が絶頂に達した。股間がヒクヒクと動き、直己の手のひらに蜜を垂らした。彼女の体から力が抜け、ベッドに崩れ落ちる。直己も横たわると、正面からその体を抱き締めた。
「あっ・・は・・」
 香枝の痙攣はしばらく止まらなかった。直己の脚に自分のそれを絡ませ、体を擦りつけてくる。直己はびしょ濡れの指を香枝に見せつけるように開いてペロリと舐めた。香枝の唇の前に指を持っていくと、彼女は口腔に含んで蜜を舐め取った。
「旨い?」
 性感に浸っている香枝からの答えはない。再び勃起したペニスを手に握られ、ねっとりと摩擦される。直己はしばらく指の感触を楽しんでから、ベッドの脇のサイドテーブルに片手を伸ばし、前回置いていった避妊具を取り出した。袋を破ってかぶせると身を翻し、彼女の中に体ごとのめり込ませるように挿入した。達したばかりの香枝は小さな声をあげた。
「あ・・直己・・」
「香枝」
 名前を呼ぶと愛おしさがこみあげる。困ったことにその感情は処理不可能なほど大きい。額や瞼、鼻先にキスをした。もちろん唇の上にも。
 長く繋がる、ゆったりとした行為が続いた。香枝を起こして座位で動き、動きをとめては抱き合ってキスに没頭した。既に一度欲望を満たしていたせいもあるが、性的刺激よりも流れ出る感情をより優先させていた。
「あ・・」
 ゆるやかに腰をくねらす香枝の吐息は、だが熱さを増している。柔らかく直己を包んでいた彼女の内部が、再び目覚めたような収縮を始めた。直己は彼女の腰を掴み、下から突き上げた。
「あ・・んっ!」
「動いて、香枝」
「あ・・あっ・・」
 直己の突き上げに合わせ、香枝が腰を振る。まだ座位に慣れていないので少しぎこちないが、それがかえって色っぽい。
「んっ・・あ・・気持ちいい・・ジンジンする・・」
 香枝は直己の背後の壁に両手をつき、息を弾ませながら動いた。眼を閉じ、性器の摩擦から来る快感に一心に集中し始めている。そのひたむきな没頭に魅了させられる。あの秋の日のエロティックな後ろ姿が、一瞬オーバーラップした。
「やっべ、気持ちいい・・・」
 直己は後頭部を壁につけて息を吐いた。熱いヒダに擦られた股間が疼く。抑制していた興奮が殻を破って暴れ出し始めた。のけぞった喉仏すれすれのところを香枝が舐めた。直己が笑うと、香枝もクスッと笑った。熱情が溢れて泣き出しそうな表情が、その笑みの上を掠める。直己はキスをしながら、互いの快楽をクライマックスに導くために、彼女をベッドに倒していった。
「好き・・」
 香枝が呟いた。
「直己が好き・・馬鹿みたいに・・・イヤに、なっちゃう・・くらいに・・」
 香枝の眼に涙が湧いた。頭上に眩しい陽光があるかのように手の甲を眼に当てる。直己はその手をベッドに押し付けて握り締めた。額と額をつけ、彼女を宥めることのできる唯一の言葉を発した。スとキを組み合わせただけで背筋が泡立った。直截的な「愛の言葉」だけは、どうしてもハードルが高くて困る。だが香枝はその言葉を聞くと、直己に抱きついた。
「いくよ・・・」
 直己は動き始めた。香枝の華奢な骨盤を揺さぶって声をあげさせながら、彼女の熱い内部に掴まれ、引き込まれ、抱き締められる。二人とも喘ぎが止まらなくなる。
「あっ・・直己、んっ・・すごい・・あ、あっ!」
 膣の収縮が一層激しくなり、香枝がもうイキそうだとわかる。数分後に香枝は絶頂に達し、少し遅れて直己も後に続いた。
「香枝・・」
 彼女の名を呼び、腕の中に抱き締める。その名の通り、若木の枝のような体にいい香りのする香枝を、直己はずっと抱き締め続けていた。



 六月第二週の週末は小雨だった。
 生温かい気温のその午後、直己は自分の部屋でうたた寝をしていた。ベッドに寄りかかり、フローリングの床にコットンパンツの脚を投げだしている。右手は携帯電話を握ったままだ。さっき受付嬢から『今日は三宅クンと初デートです。超ドキドキ。中学生に戻ったみたい』というメールが来た。『クン付けとか気色悪い』と短い返信をして携帯を閉じると、ほどなく睡魔が襲ってきた。
 両方の前足で直己の右の脛を抱え込んで寛いでいるのはビアンカ、直己が溺愛する実家のチワワだ。昨日妹が「一日だけ預かって」と置いていった。
「ビアンカ・・ビアンカちゃん、おいで・・・疲れてるんだから邪魔しないで」
 香枝の声がする。最初は優しく囁いていたが、次第に声音が低くなってきた。
「どーして来ないわけ? 直己にばっかりくっついちゃって感じ悪いなもー」
 うたた寝している直己は、うたた寝する香枝を夢の中で見ていた。
 初めて彼女を抱いた、あの四月の深夜。
 新しい企画を思いつき、書きとめようと急ぎ足で会社に戻った夜、香枝はきっとまだ会社にいるだろうという予感がした。無人の夜を歩く直己の額を、胸騒ぎを呼び起こす風がざわざわと撫でていた。
 彼女は会社のソファで四肢を折り曲げて眠っていた。たった今まで奮闘していたと思われる直己の資料を枕にしていた。敵対視していた直己が企画した仕事を、プライドを呑んで遂行しようとする籾山香枝は尊敬に値する働き手だ。だがその寝顔は微笑を誘うほどにあどけない。直己は悪戯心を起こし、携帯で彼女の写真を撮った。ジャケットを脱ぎノースリーブの上半身にかける。向かいの椅子に腰かけるとノートパソコンを膝の上に開き、この夜のように静まった心で彼女を見つめた。
 直己は「君」という二人称を普段使わないし、アーティストの歌詞以外ではあまり耳にすることもない。だがそのときはなぜだかそれを使いたい気分だった。

 俺は、君が好きだ。ずうっと好きだった。だから今夜君を抱き、何かを変えようと思う。君の眼が覚めたときに。
 
 直己はキーボードに企画書の最初の文章を打ち込みながら考える。なぜ自分はこんなに幸福な気分でいるのだろうと。眠っている彼女の前で仕事をしているだけなのに。彼女をまだ抱いてもいなければ、好かれてすらいないのに、なぜ既に幸福なのだろうと訝った。
「直己・・ベッドで眠ったほうがいいよ」
 香枝の手が髪に優しく触れた。夢でも過去でもなく、現実の彼女の手だ。直己は我知らず微笑んでいた。季節は本格的な夏に向かおうとしている。今の自分の眼の色は何色だろうか・・・。香枝の手を、指を意識しながら、直己は深い眠りへといざなわれていった。


(おわり)






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グリーン・グリーン(6)
 汗だくになりながら二人で辛いカレーを食べた後、香枝はチーズケーキと赤ワインを出した。甘いものが苦手な直己は、あぐらをかいてワインばかり飲んでいたが、香枝は「これ甘くないから」とフォークに刺した一片を直己の唇の前に差し出した。仕方なく食べる。確かに甘さはごく控えめで、濃厚なチーズの香りがする。
「旨い」
 香枝は「でしょ」と、もう少し大きく切ったケーキを直己の口元にあてがった。唇で受け取りながら眼と眼を合わせる。ゆっくりと食べ、飲みこんだ。顔を近づけキスをする。唇だけを味わう柔らかなキスを幾度も繰り返した。
「ワインもっと飲む?」
 問いながら香枝が直己のワイシャツのボタンに手をかけたので、キスの途中で少し笑ってしまった。
「この手は何」
「ワインこぼすと困るから」
 香枝は照れたように笑った。抗う理由はないので香枝の手でシャツを脱がされた。ワイシャツに限ってはアンダーを着るのは嫌いなので他に何も身につけていない。香枝はグラスのワインを口に含み、膝立ちになると直己の頬に手をやって上を向かせた。あわせた唇からワインが舌に降りてくる。唇から垂れそうになる滴を香枝の赤い舌が素早くぬぐった。
「美味しい・・もっと」
 もう一度彼女の唇からワインを飲むと、きつく抱きあい芳香の残る舌でキスを交わした。香枝の手が直己の胸板を探り、指先で乳首を撫でる。ペニスが固くなり始めていた。
「シャワー浴びたい。一緒に来て」
 唇をつけたまま直己は言った。
「恥ずかしい。無理」
「お前シャワーなげんだもん。待ってられねー」
「んー・・じゃ後から行く」
 ホントだろうなと疑いつつ先に立ってシャワーを浴びた。いつ来ても(というほどまだ回数は多くないが)カビ一つない清潔な浴室だ。一体いつ掃除をしているのだろうと感心してしまう。背後でノックの音がした。
「あっち向いてて」
「はいはい」
 と返事をしながら従わないのが直己の常で、ドアを開けた香枝の腕を引っ張り込み、正面から抱きとめた。抗議の声を室内楽のように聞き流し、タオルにボディーシャンプーを泡立てて彼女の背中や腕を洗い始める。灯りの下で胸を隠そうとする今さらな恥じらいが可愛らしい。
「こっちもお願い」
 香枝はブツブツ言いながら直己の体を洗った。きわどいところに互いの手が伸びると、当然のように性的なオーラが立ち上がり始めた。直己は彼女の乳房を手のひらで捏ね、もう一方の手を尻に回している。香枝は直己の胸や腹を撫で廻していた手を下方に滑らせ、半勃ちのペニスを握った。数回スライドさせると手を離し、陰嚢をそっと包むように洗い始める。直己は少し驚き、香枝の表情をまじまじと見た。彼女との数少ない行為でここを触られたのは初めてだ。
「そこで顔見ない」
 香枝のツッコミが入る。彼女は赤面しているが、手だけは止められないといった風だ。
「誰に習った? こーゆーの」
「そういうコメントもしない」
 香枝は直己の体にシャワーを当て、泡をすっかり流してしまうと、「・・ていい?」
となんだか少し怒ったように聞いた。
「なに?」
「舐めたい・・いい?」
「お好きに」
 直己は手の甲を唇に当て笑いを殺しながらバスタブの縁に腰かけた。香枝は直己の脚の間に跪き、根元を握ると裏から舐め始めた。片手で袋を優しく揉み、もう片方の手をペニスの先端に移動させて弄りながら、丹念に舌先を滑らせていく。どうしても照れが先に立つ香枝だが、わずか数度の行為でめきめき腕をあげたようだ。
「ふ・・」
 直己は香枝の濡れた髪を撫でながら吐息を洩らした。ちゅぷ、と妙に可愛い音がして、先端が香枝の唇に覆われた。すぐに抜き、チロチロと舐めてはまた銜える。その間にもペニスは手で強めに摩られている。股間に血液が凝集し、興奮がみるみるうちに高まってきた。
「気持ちいい。やばい」
 早口で囁く。最大に屹立したペニスを舐める香枝の表情から照れが消えた。髪から、長い睫毛の先から、欲情のしずくのような水滴が落ちている。
「香枝・・銜えて。もっと」
 香枝はドキッとするような上目で直己を見た。女っぽく微笑む。根元近くまで銜えた。
「あ・・」
 温かな口蓋で先端をきつく締められ、股間の脈打ちが一層激しくなる。香枝は頭をゆっくり動かし、舌を使いながら直己を容赦なく愛撫した。規則正しい動きが徐々に早さを増す。口の中でイカせるつもりだと察知し、直己は驚く。
「う・・あっ・・」
 呻きが漏れる。間違っても裏声になりませんようにと祈る。腰を動かして自分の好みの早さを伝え、唇が即座にそれに倣う。唾液に空気が混じり淫蕩な音を立てる。
「いい・・そう・・そのまま・・んっ!」
 フェラチオでは射精を遅らせる必要はない。直己は駆け昇ってくる絶頂に逆らわなかった。脚の付け根がビクビクと痙攣する。
「は・・香枝・・いく・・出る、から・・」
 香枝の頭を掴み、動きを止めさせる。全身の震えと共にドロッと熱いものが先端から吐き出された。悦楽が体内を駆け抜ける。してやられた、と苦笑が滲み出た。
「スゲー・・マジで参った」
 香枝は唇に手をあて、飲み込むのに往生していた。直己は「出しな」と手のひらを差し出したが、彼女は頑固に首を振り飲み込んだ。潤んだ眼から透明な涙が流れる。直己は香枝の体を引き上げて膝の上に乗せた。震えているので熱いシャワーを背中に当て、手のひらで摩る。香枝は直己の首筋に顔を寄せた。
「寒い、せいじゃない」
「ん?」
「触ってて・・お願い・・なんかあたし、ヘンになっ・・」
 語尾が途切れた。香枝は直己の手を掴み、乳房に持っていった。きつく押しつけた瞬間に眼のふちを羞恥が横切り、消えた。
「強くして・・」
 直己は痛みを感じるほどの強さで白い乳房を握った。香枝が悲鳴に近い声をあげた。「痛い?」と直己は囁いた。
「痛く、ない。もっと・・して・・」
 アザになりはしないかと懸念しながら揉み続け、顔を下げてもう一方の乳房の内側に歯を軽くめり込ませた。硬度を増した乳首にもキュッと歯を当てる。
「きゃ・・ああっ!」
 香枝は直己の頭を抱きしめた。必死でしがみついてくるので動きが取れない。それどころかバスタブの中に転げ落ちそうになった。
「落ち着けって、こら」
 湯を止め、香枝の体を抱き抱えるようにして浴室の外に出た。バスタオルで二人分の体をさっさと拭うとベッドに移動し、彼女をうつ伏せにする。上から覆いかぶさると、両腕をクロスさせて二つの乳房を掴み、激しく揉みしだいた。
「いあぁっ、んっ! あぁっ・・」
 香枝が首を横に振る。狂おしそうに体をねじり突き上げた尻が、再び力を持ち始めたペニスに押しつけられた。直己は後ろから香枝の股間に手を滑り込ませた。指が滑るほどに濡れている。肩を掴んで仰向けにするが早いか、脚を大きく開かせた。部屋の蛍光灯は消えているとはいえ、ドアを開け放したままの浴室から光が入ってくる。香枝はさすがに顔をそむけたが、脚を閉じようとはしない。
「どうしてほしい?」
 直己はわかり切ったことを聞いた。
「な、舐めて・・・お願い」
 香枝は離れた直己の愛撫を恋うように、手と腕で乳房を押さえつけている。肌に喰い込む指の動きがなまめかしい。
「どこを?」
「あ・・」
「どこを舐めるの? 言って」
「クリ・・トリスを、舐めて・・」
「クリトリスだけ? 他には?」
 我ながら意地悪な問いだと思う。だが無理に答えさせるつもりはない。直己は香枝の頭を片腕で抱き、耳に唇をつけて囁いた
「舐めてあげる。お前のあそこを全部」
 香枝の顔がみるみる赤らんだ。頭を下げ、股間に顔を近づける。湯と愛液に濡れた薄めの陰毛を指で弄り、勃起したクリトリスを舌で捕らえて前後に動かした。
「あぁっ!」
 香枝の腰がビクッと跳ねるのを押さえこみ、快感が十分に高まるまで愛撫を長く続ける。指先で膣口を掻き回す。いやらしく蠢く女性器をつぶさに見つめながら花びらを掻きわけて舌を差し入れ、くすぐり、吸いあげた。
「ひゃっ・・あっ、んぁっ・・・気持ち、いい・・」
 両手を脇に当てて開かせた亀裂に舌を深く差し込み、こっちの息ができなくなるほど顔を押しつけて抉り抜く。同時に指先でクリトリスを嬲っている。
「ゃあっ・・すごい・・ダメ・・ああっ・・すごい・・」
 彼女の全てを食べつくしてしまいたいと思う。だが溢れて白濁した蜜は到底舐め切れる量ではなく、アナルを流れてシーツに垂れていく。直己は顔を離すと同時に膣に指を埋めた。長い三本を拳近くまで入れ、手首を使って早いスピードで動かした。香枝の顔まで戻る。片腕で肩を抱き、愛液にまみれた舌を彼女の口のなかに差し込んだ。

グリーン・グリーン(5)
 それから一週間、香枝からは電話もメールも来なかった。職場でも見事にすれ違いの日々が続いた。双方とも激務とはいえ、一週間も音信不通というのは非常にまずい状況だ。三宅からは相談のメールが一、二度舞い込んだが、いささか投げやりになっていた直己はカムアウトのタイミングを完全に逸していた。
 香枝がプロジェクトリーダーを務めるM社タイアップCMの完成披露が全社員の前で行われたのは、合コンの翌週の金曜日のことだった。数種のバージョンのテレビCMが講堂の大スクリーンに流された。マイクを握りCMの解説をする香枝の態度には風格すら漂い、プライベートで垣間見せる子供っぽさは微塵もない。ボードメンバーにも一般社員にもCMの評判は上々だった。終了後、直己は香枝に近づいて声をかけた。
「お疲れ。よく頑張った」
 彼女は個人的感情を排した微笑みを返した。その後プロジェクトのメンバーで短いミーティングをしたが、直己も香枝も公的な態度を保ち続けた。
ミーティングが終わると、直己は先に会議室を出た。夏のスポーツイベント説明会のため、 十五分後に外出しなければならない。久しぶりのネクタイが少し息苦しい。カジュアルが基本のこの会社ではスーツの出番はあまりないが、今日の会には都議会議員も顔を出すので着用している。
 エレベーターを使わずに薄暗い非常階段を降り、踊り場で立ち止まると直己は大きなため息をついた、上方から軽い足音が聞こえた。見上げると香枝が降りてくるところだった。すぐに直己に気づき、表情が微妙に揺れる。迷うようにゆっくりと降りてくる。Vネックの真っ白なカットソー。脚のラインに沿ったパンツ。最後の一段を降り、直己の目の前に立った。たっぷり十秒以上の沈黙が流れた。
「・・・まだ怒ってる?」
 香枝が聞いた。
「怒り続ける暇とかねーよ」
 直己は肩をすくめたが、実はまだ怒っていた。感情を制御し切れない自分への、やるせない怒りだった。
「あたし直己には謝れない・・・悔しいから」
 香枝は表情を殺し、囁くような小声で言った。
「でも三宅っちには謝る。つきあってる人がいるって今日会って言う。呼び出されたから」
「メールか電話で言えよ。わざわざ会う必要ねっしょ」
 香枝は答えない。視線が直己のスーツの肩先からネクタイに移動した。眼の中に称賛のような色がかすかにある。指先がネクタイを撫でた。手がひらりと裏返りネクタイを掴んだかと思うと、引き寄せられ唇にキスをされた。ただ触れるのではなく、抉るようなキスだった。髪の香りが鼻先に漂う。心臓をチリチリ炙られるような痛覚に襲われた。
「好き」
 香枝が囁いた。抗議するように。成熟した大人に少女のエッセンスを落としたような声。ネクタイを解放するが早いか、香枝は身を翻して階段を降りていった。足音が聞こえなくなると、直己は小さく呟いた。
「お前・・それ反則だろ」
 直己は何も言えなくなる。彼女にただ一言、囁かれただけで。

 三宅からメールが届いたのは、その五時間後のことだった。
『バカなことしました・・・キスしちゃいました』
 プライベート携帯にその文面を発見した直己は、既に外出先から帰社していた。パワーセーブ機能が働いて真っ暗になるまで画面を凝視していたが、『なんでまた』とメールを返した。返信はすぐに来た。
『コクるタイミングつかめなくて、何だか超ジリジリしちゃって。ボードウォークで世間話してたんすけど衝動的につい・・彼氏いるからって怒鳴られて逃げられました。めちゃ落ちてます』
 直己は額に指をあて、少し考えてから香枝のプライベート携帯に電話をかけた。電源を切っているのか伝言サービスに繋がったので切り、会社携帯のほうにかける。香枝の低い声が「はい」と応対した。
「三宅から聞いた」
「・・・」
「今どこ」
「部屋」
 直己は腕時計を見た。夜七時半。普段の彼女ならまだ仕事をしている時刻だ。「一時間で行く」と告げて通話を切り、三宅に電話をかけた。応対したので「今どこ」と同じ質問をする。
「ボードウォーク。立ち上がれなくて座ったままっす・・」
 東京湾に近いこの界隈は運河が多く、徒歩五分の距離に洒落たボードウォークがある。直己は早足でそこに向かった。水辺には夜の闇が落ちていたが、レストランや街灯の明るさに助けられ、ボードウォークの階段に座り込んだ三宅の姿を見つけるのに時間はかからなかった。前面にまわり、膝に手を当てて顔を覗き込む。さすがに泣いてはいないが直己を見上げた表情には全く生気がない。
「籾山の彼氏ってのは俺だよ」
 挨拶も前置きもなしに言った。
「え?」
「悪かった。もっと早く言うべきだった」
 三宅の唇は「え」の形で固まり、難解な言葉を聞かされた小学生のように瞬きをした。
「・・・籾山ちゃんの彼氏が、宇田川、さん」
「そう。香枝の彼氏が俺」
「・・・マジすか。え、つーか何。ほんとにマジで?」
「ごめん」
「冗談でしょ? 超ありえねー!!」
 三宅は両手で顔を覆い、ガクッとうなだれた。
「信じらんねー。嘘だって言ってくださいよ。マジひでー」
直己は三宅の隣に座った。まるで陳腐な恋愛ドラマのようなシチュエーションだと思うが、真顔は崩さない。
「殴りたかったら殴ってもいいけど、お前だって俺の彼女にキスしやがったしなぁ」
「だって付き合ってるなんて知らねーし!」
「だから悪かったっつってんじゃん」
「悪かったじゃすまされないっすよ!」
「けど合コンアレンジしてやったっしょ。あの受付嬢お前のこと相当気にいってたよ?」
「うっせーな! そんな話今聞きたくねーよっ!」
 丁寧語が吹っ飛んだので爽快な気持ちになった。三宅は直己とタメなのだから丁寧語など不要なのだ。
「じゃ聞きたくなったら連絡して」
 直己はしれっと笑みを浮かべた。三宅の表情がどこか拍子抜けしたものに変わる。ボーナスを全額賭けてもいいが、近い将来に絶対に聞きたくなるだろうと直己は思った。

 直己は三宅を置いて、香枝のマンションに向かった。地下鉄を降り、例の『マイタイ・ハワイアン&グリルバー』に立ち寄ってみる。
「あーどうも。香枝ちゃんの彼氏、だよね?」
 カウンターの向こうの店主が髭面を綻ばせた。
「ちす。なんかいい赤ワインあります? 売ってください。あとケーキも置いてありましたよね。彼女が好きなのは?」
「チーズケーキかな。ま、本当の好物はうちのモツ煮込みだけど」
「全然ハワイじゃなくないっすか。モツ煮込みって」
「旨きゃいいの。あの夜は仲直りしたの?」
「したけどまた色々と」
「青春だねー」
「青春っつーほど若くないんで」
「血が騒いでるうちは幾つになっても青春だよ」
 青春ねえ、と反芻しながら、ワインとケーキを下げて香枝の部屋を訪れた。応対した彼女は真っ暗な顔をしていた。「入って」と背を向けた後ろ姿に、直己はわざと軽い言葉を投げた。
「キスくらい何よ。犬に噛まれるよりマシっしょ。血も出ねーし」
「くらいとか言わないでよ。友達だよ? それに」
 香枝はアイボリーのベッドカバーの上に座ると、額に手をあてた。
「最低なフリ方した。マジ自己嫌悪。せめて殴んなくて良かった・・と思うしかない」
「あいつって口軽い?」
「え?」
「さっき会って俺らのことバラしたから」
 香枝の頭の上にケーキの小箱を置いた。両手で受け取った彼女は「軽くはないと思う・・」と答えた。嬉しいような嬉しいと思ったら悪いというような複雑な表情をしていた。
「心配すんな。たぶん立ち直り早いタイプだし・・・でさ」
 直己は身をかがめ、彼女の唇に短いキスをした。
「このくらい?」
「え?」
「あいつとキスした長さ。もっと長くやった?」
「何それ。そんな・・わけないじゃん」
 香枝の首筋に手を添え、ほんの一瞬唇を掠める程度のキスをする。
「こんなもんか」
「やめてよ。そういう意地悪聞く気分じゃないよ」
「意地悪じゃねーよ。本気で怒ってんだよ」
 直己は鼻で笑いながら、俯こうとする香枝の顎を掬い上げた。
「お前ちょっと鈍いんじゃね? うかうかキスとかされるか? 普通」
「わかった・・から、もう言わないでったら! こっちだってショックなのに」
 香枝は直己の手を振り払い立ち上がった。キッチンのほうに向かおうとするのを、直己は腕を掴んで引き寄せた。
「お前さ、なんであいつと会社の外で会うのを承諾した?」
「メールとか電話じゃ失礼だと思ったから。他に理由なんかないよ」
「もう二度とやんな。自分に気があるってわかってる男と二人で会ったりすんの」
「何その言い方」
「生きた心地がしねーんだよ」
 二の腕を掴んだ手に力を込め、香枝の髪に鼻を埋めた。
「生きた心地がしなかった・・・今日は」
「・・・」
 直己は自分を持て余していた。こんなことを言うつもりではなかったのだ。
「ごめん・・なさい」
 香枝が言った
「心配させて、ごめん」
「・・・なんか激辛な匂いすんね」
 直己は呟いたのは、一分以上も経ってからだった。
「あ、うん。グリーンカレー」
「食っていい? つか食う。倒れるくらい腹ペコなんで」
 照れ隠しに少し笑い、眼を逸らして香枝の腕を離した。上着を脱いでネクタイを緩めながらキッチンに向かう。鍋がコンロに乗っている。ガスの火をつけ、おたまで掻きまわしていると、後ろからトンと抱きつかれた。直己は胴に回された彼女の腕を握った。そのまま二人とも無言だった。熱されたカレーの表面に泡がふつふつと立ち始めた。

グリーン・グリーン(4)
「宇田川さん、どう思います? 彼女のこと」
「あー仕事はできるよな」
「彼氏とかいるんすかねー」
 週明けの月曜日、直己は「他の男」である三宅とサシで昼食をとる羽目に陥っていた。横浜の店舗を見学後、「うまい中華食いにいきましょう」と誘われたのだ。話題にのぼっているのは誰あろう、香枝である。
「突っ込んで聞いてみたいけど、いるって言われたらちょっとショックだしなー」
 直己は回鍋肉を咀嚼しながら男を観察した。全体的に小ざっぱりしていて闊達な喋り方をする。営業だけあって気も利く。モテないこともないだろう。
「あのさ、彼女いるよな?」
「え? いや今はいないです。先月別れたばっかりなんすよ」
「籾山はやめときな。彼氏いるから」
 三宅はジャスミン茶を吹きそうになり、慌てて卓に置いた。
「知ってるんですか、宇田川さん」
「同じ部署だしね。まーしょうがねーよ。他の探しな。あ、そーだ。なんなら合コンとかしてみる?」
「え、合コン」
 眼が輝く。好きなコがいても合コンはしたい。男のサガだ。
「宇田川さんの知り合いって美人多そうっすよね」
「うん多いよ。籾山より全然いいのばっか」
 直己は笑顔で強調した。三宅は店を出ると「彼氏いんのかぁ」と無念そうに呟き、「合コンやりたいっす。よろしくです。俺いつでもいいんで」と真剣な顔で言った。三宅と別れた後、直己は香枝の携帯に電話をかけて事の経緯を説明した。
「信じらんない! なんで直己が合コンのセッティングすんの?」
「さーな。どっかのブリッ子が男心を弄んだせいじゃね?」
「何言っ・・三宅っちは彼女と別れたばっかりなんでしょ? 単に心が揺らいでるだけだって」
「だから美人紹介して揺らぎをとめてやる。じゃ報告したからな」
「待ってよ。合コンなんてダメ。直己は出ちゃダメ」
「幹事は欠席できません」
 直己は通話を切ると、以前の会社の受付嬢に電話をかけた。悪友である彼女は三股四股など当たり前の鬼畜だが、見た目は上品な美女だ。合コンマニアでもあるのでトントン拍子に話は決まり、木曜日に開催することになった。

 当日、直己はオタクっぽいチェックのシャツを着た。中学生のような白い靴下に古いシューズ。惚れこんで買ったバカ高い腕時計は外していく。自分は員数外という無言のアピールのためと、ご機嫌ナナメの香枝へのパフォーマンスでもあるが、彼女は急な外出が入ったらしく終日顔を合わせることはなかった。七時前に会社を出て合コン会場のカジュアルなイタリアンレストランに早めに着くと、女子側の幹事である受付嬢はもう来ていた。直己を見るなりバッチリメークの眼を見開き、呆れた顔になる。
「なにそのカッコ。しかも手ぶら?」
「一時間で会社戻んなきゃなの。他のヤツらはやる気満々だからカンベンして」
「で、お勧めは?」
「三宅。見た目はマアマア、若手じゃトップセールスの出世頭」
「女いんの?」
「先月別れた」
「ふーん、じゃ貰うかな」
「貰うなら今日中に手付けろよ」
 冷徹な顔で打ち合わせる様は人身売買さながらだ。十五分後には全てのメンバーが揃い、乾杯が済むと笑顔の裏で異性の品定めが続いた。受付嬢は上品な笑みを振りまき、三宅に話しかけている。三宅もまんざらではないらしく、はにかみながら話す口元が緩んでいる。受付嬢はさりげなく席を立ち、絵文字だらけのデコメを寄こしてきた。
『いいっ!見た目好み! 適度にハキハキしてて若干シャイな感じも! とうとうあたしにも赤い糸の人が登場っ?』
 何が赤い糸かと呆れるが、この鬼畜は「運命の人が現れたら他の男は直ちに捨てる」と豪語する、ある意味純粋な女なのである。
「あれっ、なんでうちの会社の営業マンがこんなたくさんいんの?」
 左手から明るい女の声が聞こえた。直己はぎょっとして振り向いた。「えっなんで」と三宅が狼狽した声を出した。
「あーこれって合コンかなんか?」
 モテ服にモテメークの女性陣の傍らに、グレーのパンツスーツの香枝が立っていた。
「なんでここにいんの」
 直己は抑揚のない声で問った。教えてもいないのになぜ店を知っていたのだろうか。
「近くで撮影だったんだー。やっと終わったんでイタリアンでも食べよっかなって。一人で寂しく」
「あ、良かったらご一緒にどうですか?」
 受付嬢が如才なく同席を勧めた。
「ありがとうございます。でもちょっとメールチェックしないと」
 離れた席に案内された香枝は、ノートパソコンをテーブルに置いて仕事を始めた。三宅の表情がそわそわしている。直己はテーブルの下でこっそりメールを打った。
『何しにきたんだよ』
 即座に返事が来た。
『これってホントに三宅っちのためなわけ? 美人がいっぱいですけど』
『くだらねーこと言うな。帰れ』
『どこで仕事しようとあたしの勝手だもん』
 水面下でのやりとりなど知る由もない女子の一人が、香枝を見て羨ましそうに言った。
「なんか素敵な人・・。あたしみたいなOLとは格が違う感じ」
 三宅が立ち上がった。香枝のところに向かっている。直己は眼の端でそれをとらえつつ「宇田川さんのお仕事って大変そう」と媚全開で微笑む隣の女を「大変すぎて一週間風呂入ってねーの」と牽制した。
 三宅は香枝と短い言葉を交わして戻ってきた。「宇田川さん、ちょっといいすか」と耳打ちされ、連れ立って店の外に出る。三宅の顔は異常なほど上気している。
「あの・・もしかして籾山ちゃん、俺のこと追いかけてきたんじゃないすかね」
「あ?」
「実は昨日彼女に聞かれたんですよ。明日どっか行くのって。フツーに店の名前とか教えたんすけど、まさか来るなんて・・ひょっとして脈アリなのかなー。つーか合コンってバレちゃって気まずいんだけど、はは」
 直己は内心で舌打ちした。よりによって三宅から聞き出すとは浅慮にも程がある。
「単に近場で仕事してたから来ただけっしょ」
「他にもいくらでも店あるじゃないすか。一人でも入りやすい店とか」
「てか彼氏いるし」
「でもうまくいってないのかも」
 三宅は自分に都合よく解釈したがっている。今このタイミングで白状すれば必ず一波乱あるだろう。
「期待しないほーがいいと思いますがね」
 投げやりな口調で答えて合コンの席に戻ると、隣の女が「もっとワイン飲みません~?」とすり寄ってきた。直己のワイングラスを取り上げようとして手がすべり、グラスの底に残っていた赤い液体が直己のシャツに跳ねた。
「あっ、ごめんなさい・・大丈夫ですか?」
 女は甘い声で謝り、ハンカチを出してシャツを拭き始めた。受付嬢の知人だけあって百戦錬磨だ。吹き出しそうになりながら「いーから。これ超安もんだから」と手を押しやる。
「こちらのワイン、あちらのお客様からです」
 ワインボトルを捧げ持った店員がやってきて、香枝のほうを見た。香枝は片手を振ってニコッと笑った。
「おー籾山いいヤツじゃん」
「やることオトコだよなー」
 座が一気に盛り上がる。女性陣が「ねー、あの人こっちに来てくれないかな」と騒ぎだした。
「なんかカッコいい。仕事の話とか聞きたーい」
 香枝は女子に乞われる形でやってくると、冷やかすように男性陣を見た。
「ごめんねー。見飽きた顔が一匹混じっちゃって」
「籾山ちゃん、こっちに座って」
 自分の隣に席を用意させた三宅は、もはや受付嬢の顔など見ていない。香枝は今彼女が抱える最も大きなプロジェクトである、M社タイアップのCMにまつわる失敗談を話して笑いを取ったが、直己の横の女だけは関心を示さず直己の手に触った。
「綺麗な手・・。あたし手相見るのうまいんですよー。見てあげますね」
「へー手相? 俺にも教えて」
 と三宅がさりげなく香枝の手を取った。「自分の手でやりなよ」と文句を言う香枝を黙殺し「これが生命線だっけ?」と手のひらに指を這わせる。くすぐったそうに香枝が笑った。その瞬間、直己が抱いた憤怒の凄まじさは直己本人すら驚くほどだった。隣の女は直己の手のひらを熱心にのぞきこんでいる。
「すっごくいい手相ですよー。男性にも女性にも人気がありますねー」
「宇田川って多情の相とか出てそーだよね」
 香枝が口をはさんだ。「楽しそうでいいね。あたしみたいな純情一徹には理解できないけど」
「籾山ちゃん純情一徹なんだ。俺と同じだ~」
 三宅が甘ったるく調子をあわせる。さすがに何か変だと気付いたのか、香枝は眉根を寄せて三宅を見たが、会社の携帯が鳴ったので中座して店外に出て行った。直己の手を握ったままの女が、ふふっと笑った。
「綺麗な人だけど、ああいう忙しい人の彼氏ってかわいそう」
「そう? 好きなら何でも我慢できるけどなー俺は」
 三宅がなぜか余裕ありげに答えた。「あ、籾山ちゃん。上着置いてっちゃった。寒くないかなー」
「寒くねっしょ。暑がりなんだから」
 直己は低い声で答え、立ち上がった。
「わり。俺会社に戻るわ」
 受付嬢に会費を支払い「三宅は今日無理っぽい。カンベンな」と耳打ちし、レストランを出る。香枝が電話を切ったところだった。直己を振り向いた表情は、付き合う前の彼女を彷彿させるものだった。
「帰るんだ? あの粘っこそうな彼女はほっといていいの?」
「・・・お前いい加減にしろよ」
「そっちこそ人の目の前でイチャイチャと何なのあれ」
「好きでやってるよーに見えたかよ! ノコノコ出しゃばって話ややこしくしやがって。三宅のあの態度見たろ? カンペキお前のせいだぜ。わかってんのか?」
 直己がここまで語気を荒げることは滅多にないので、香枝の表情が鼻白んだ。今初めて自分の失策に気づいたように視線を下に落とす。
「俺はもう知らねー。お前自分で責任とれよ」
「来るつもりじゃなかった」
 唇をキュッと引き結ぶ。
「でもあたしの足が勝手に来たんだもん」
 直己は「は」と一声投げると歩き出した。頭蓋の中が沸騰している。
 駅に続く遊歩道には、青葉を繁らせた桜の木が連なっていた。
 鮮やかな緑の葉っぱを見過ぎると、眼の色が緑に変わってしまいそうな気がする。子供の頃そう思ったことがある。なぜ今そんなことを思い出したのだろう。緑の眼。グリーン・アイ・・・。その英語が「嫉妬」という意味を持つことを、直己は思い出した。

グリーン・グリーン(3)
 玄関の内側に入って明りのスイッチをつけるが早いかキスを交わし、もつれながら狭い廊下に倒れ込む。かろうじて靴だけは脱いだ。香枝のぺたんこのシューズは勝手に脱げている。直己は香枝のブラウスの前を性急に開き、ブラのストラップをずらして乳房を曝した。細身なわりに量感のある真っ白な膨らみが眼に眩しい。強めに揉むと乳首が手のひらの下であっという間に固くなる。
「あっ、直己・・ベッドで・・あんっ」
 スカートをまくりあげ、何の斟酌もなく股間に手のひらを差し入れる。暑がりの彼女は五月ともなればもう生足だ。薄い布の表にまで染み出した蜜が、指の腹をしっとりと湿らせた。ショーツを掴み、一気に膝まで引き擦りおろす。「あ、やっ」と香枝があげた惑乱の声には抗議の音色が混ざっている。
「ダメ、ちょっ・・ベッドに行こ・・んぅっ」
 舌を彼女の口腔に差し込み、残りの言葉を封じ込めながら溝をなぞりあげ、人差し指と中指を熱い内部に侵入させた。第二関節までぬるりと埋め、ヒダに絡み取られながら膣の壁を擦る。同時に親指の腹でクリトリスに小刻みな愛撫を加えた。
「あっ! ダ・・メ・・あぁっ」
 香枝はビクッと痙攣し、直己の肩にしがみついた。透明なぬかるみが立てる音を直己は大いに楽しんだ。
「いい音・・・聞こえるよな?」
「や・・そん・・」
 香枝の体が震え出し、再び重ねた唇の隙間から泣き声のような喘ぎが漏れ出した。
「う・・ふっ・・んん」
 直己は儚い色をした乳首を唇で強く吸い上げた。舌の先で円を描く。やや小粒でくっきりした突起のそれはすこぶる感度がいい。
「は・・ぁっ、ん、んっ!」
 香枝が身をよじると、膣の奥深くまで挿れた指がぎゅっと締めつけられた。
「スゲ・・・めっちゃ吸いついてくるんだけど、お前の・・」
 女性器の俗称を香枝の耳の中に囁いた。下品過ぎるのは好みではないので滅多に言わないが、たまに使えば興奮剤になる。香枝は瞬時に眼をそらし、耳まで赤くなった。セックスの快楽など後回しにして生きてきたと思われる彼女の独特の恥じらいは、直己の大好物だ。
「どーやったの今の。もっぺんやって」
 囁きながら蜜で溢れた粘膜を執拗に擦りあげる。
「バカ・・知らないよ、もう・・ぁっ・・ん・・」
 直己の手はもうびしょ濡れだ。早く指ではないものを入れたい。ベルトを外すと、香枝が服の上から直己の股間に触れた。勃起を確かめるように手のひらで包む。
「直己・・ねえ・・」
 興奮のため香枝の指はわなないている。ボクサーショーツの中に滑り込んできた手に握り締められた瞬間ドクッとした感覚に襲われ、思わず腰を引いた。直己はパンツと下着を降ろした。しなやかな指が直己を摩る。香枝の親指は感じやすいカリの部分を集中攻撃している。優しく左右に擦りながら、人差し指で先端の切れ込みをそっとなぞる。何度も。
「ふ・・」
「入れて・・早く。おかしくなる・・」
 もっと余裕がある状態なら「何を、どこに」などと言わせてみたいが今は無理だ。
「ちょい待って」
 香枝にキスをして体を離し、ノートパソコンの入ったリュックを引き寄せた。コンドームの小箱を忍ばせてある。手先が器用なのと慣れているのとで装着は早い。
淡いブルーのショーツを取り去り、脚を開かせるとスカートがウエストまでめくれ、白い腹と柔らかな繁みがあらわになった。白い内腿の奥の赤い亀裂が眼に飛び込む。こんな淫らな格好をさせている。つい一ヶ月前までは直己を睨みつけ、拒絶の背中を見せていたあの籾山香枝に。
「いい眺め・・やらしすぎ」
「や・・もう・・」
 亀頭で膣口を刺激してから先端を押し込んだ。敏感な部分が締めつけられる感覚に鳥肌が立つ。
「う・・」
「ああっ・・」
 直己の小さな呻きは香枝の喘ぎに消された。押し開くように奥まで進むと直己は眼を閉じた。二週間ぶりの彼女のなかは少しキツ過ぎる。だがすっぽり包まれると性的興奮とは裏腹の安堵が押し寄せてきた。もう二度とここから出たくないとすら思う。
「気持ちいい・・香枝ん中、めっちゃあったかい」
「あ・・直己・・すごい・・なんか・・」
 直己はゆっくりと動き始めた。興奮し過ぎているから、あまり我慢はきかないだろう。ディープキスをしながら、快楽に溶けていく香枝の顔を見つめる。彼女の唇の端からとろりと垂れた一筋の唾液を舐め取り、「もっと声出して」と囁いた。
「お前の声好き。もっと聞かせて」
 腰を細かく送り、クリトリスを指で弄った。愛液を塗り込むように円を描く。
「あぁっ!」
 香枝が大きく痙攣した。
「や・・ダメ、なんか、あんっ!」
 何度も体が跳ねる。そのたびに内部の肉が収縮し、ペニスをギュッと掴む。
「・・っと」
 どちらが攻めているのかわからない。不定期の攻撃に耐えながら彼女を早いスピードで突き上げた。細い喉がのけぞっていく。乳房が液体のように波打つ。直己はほとんど体を密着させたままクリトリスを擦るように動いた。香枝を早くイカせるためだ。
「はっ・・いい・・気持ちいい・・あっ、んんっ!」
「は・・」
「あ、あっ! ダメ・・・直己・・もうイッちゃうか・・ら・・」
「イッて。俺も長くもたねーし。下手したらお前より先にイクかも」
 苦笑しながら香枝の右脚を抱えあげて自分の肩に乗せた。結合部に視線を落とす。直己のもので開かれた花芯は充血している。いやらしい音をたてながら赤いヒダが直己を呑み込んでいく。もう自制がきかない。彼女の体を屈曲させ、ラストに向かって激しく動く。溢れた蜜がピチャッと跳ねた。
「いやあっ、ひゃっ、あ、あぁんっ、イク・・イッちゃう・・!」
「く・・」
「あぁっ! はっ・・」
 一本の弦のように香枝の背中が張り詰めた。彼女がオーガズムに達した瞬間絞るように締めつけられ、直己は低い声を洩らした。
「う・・あ・・」
 精が放たれる直前の、ぐうっと持ち上がる感覚に襲われる。動きを止め、彼女の体をきつく抱きしめると、一気に欲情を吐きだした。
「ふ・・」
 わずか数秒の恍惚を終え、荒い息をつく。慎重に抜きながら香枝の唇や頬にキスをしたが、彼女は眼を閉じたままほとんど反応を返さない。直己は放出後の脱力感に抗って立ち上がり、白い粘液の溜まったゴムを外した。廊下の横手のキッチンのペーパータオルに包んで燃えるゴミの袋に捨てる。
「オジョーサン、ベッドに行こう」
 香枝の上半身を抱き起こしたが、体に力が入らないのかぐったりと凭れかかってくる。膝の裏に手をやり抱きあげると、「あ」と小さな声が喉のあたりで聞こえた。
「案外重い」
 からかいながらベッドまで運びそっと降ろす。直己は服を脱いだ。香枝の服も脱がせ全裸にしてしまうと、すべすべした背中を抱きしめながら横たわった。待ちかねていたかのように睡魔が両手を広げて覆いかぶさってくる。後戯の言葉すら口にできず、深く沈みこんでいく。
「直己・・大丈夫? シャワーとかいいの?」
彼女の問いは意識の内側に埋もれてしまう。記憶が夢と化し、直己の心のなかに再現された。

 あれはいつの午後だったろう。半年以上も前、秋口の頃だったかもしれない。十七階のオフィスの窓外に、薄雲のたなびく青空が広がっていた。
 香枝のデスクの背後を通ると、彼女は上体をかがめるようにして分厚い資料を読み耽っていた。頬にかかる髪が邪魔なのか片手で掻きあげているため、うなじがあらわだ。直己は眼を疑った。フレンチスリーブの右肩から薄いピンクのブラのストラップが、わずかにずり落ちていたからだ。兵隊のように整列した机上のファイルが物語る性格の通り、彼女の服装にうっかりミスを見つけたことなど、それまで一度もなかった。
 通り過ぎるまでの数秒間、直己はその後ろ姿に見とれた。絵本にのめり込む子供のような集中力、その無防備さ。傾けたうなじから腕に下るラインは女らしく優美で、一筋の乱れがエロチシズムを添えている。ストラップを直してやりたいような庇護欲をおぼえる一方、もっと乱してみたいと猥褻な想像をする自分もいる。
 注意するのも何だしな・・と思いながら通り過ぎると、通路をこっちに向かって歩いてくる男に眼がとまった。「三宅っち」と彼女が呼ぶ営業部のあの男だ。香枝のところに来るのかもしれない。直己は踵を返し、香枝の背後から声をかけた。
「ねー、クリアフォルダーねんだけど注文しといてよ」
「えっ・・はあ?」
 香枝はムッとした顔で直己を振り向いた。
「そんなの総務に頼んでよ。つーか自分で倉庫まで取りに行けば」
「あ、そ」
 直己は肩をすくめ、彼女の右肩にこれ見よがしの一瞥を投げた。鼻で笑ったのは余計だった。歩きだしてすぐに「あっ」という小さな叫びが背後で聞こえた。
 通路ですれちがった男は直己に笑顔を向けた。直己も笑い返したが、自分のデスクに戻ると「アホか俺は」と呟いた。彼女のあの姿を他の男に見せたくない。そういう自分にはっきり気付いたのはその時だった。


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