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KIKI歌野

Author:KIKI歌野
物書き(♀)です。アダルト表現を含む物語もありますのでご注意ください。ふと訪れた方々が楽しんでくださればうれしいです。
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KIKI歌野の、たあいないものがたり
小説を書いています。官能を含む恋愛小説、普通の小説をぼちぼち載せていきます。たぶんまあまあ面白いです(つまんなくても暖かい目で見守ってください・・笑)


  NEW!!☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 2012年8月
 直己×香枝の最新作『パーフェクト・ビューティー・オブ・ライフ』アップしました。

 ゴメンナサイ、今回は有料コンテンツですが、(1)のみ無料で試し読みしていた
 だけます。

  皆様から寄せられたご感想はコチラ → ★★

 
 2010年11月
 直己×香枝の第四弾『ラヴァーボーイの受難』アップしました。


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  初めてのお方はどうぞ。このブログ内の小説ラインナップが一目でわかります。


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  皆様へのお知らせとかお礼とか言い訳とか、いろいろ書いてあります。


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  キャラなりきりつぶやきもやってますので、小説を気に入ってくださった方なら
  楽しめると思います。ぜひのぞいてくださいね(現在停止中・・・ごめんなさい)



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ラヴァーボーイの受難 (2)
「誰こいつ。会社辞めてくださいってことは社内の人間だよな」
 本当にわからないので首を捻ったが、香枝は頬に落ちた髪をかきあげながら、冷たい視線で直己の顔を刺した。
「直己さぁ、あたしの前に社内で付き合ったコとかいた? 全く聞きたくないけど教えて」
「いない」
「嘘」
「一人いたことはいたけど、とっくに退職したから関係ない」
「いたんじゃん」
「いたっつーか合意の上で遊んだだけ。向こうは結婚決まってたし」
「それ誰? いつの話?」
「お前と付き合う前」
 香枝はしばらく黙っていたが、蛍光灯の光を反射させた眼をパッと見開いた。
「わかった受付のコだ! モデルみたいな受付嬢が入ったって皆騒いでたもん。芸能人と結婚してすぐに辞めちゃったあのコでしょ? 絶対そうだ。うわーもぉありえない! エロオヤジ!」
 スゲー勘だなおい、と驚愕しながらも直己は平静な表情を保った。
「誰がオヤジだ?」
「あたしのこと前から好きだったって言ったくせに、社内の女子に手出してたんだ? しかも婚約者いるコってどーゆーこと?」
「お前焦点ズレまくってんぞ。犯人探しのために俺を呼び出したんだろが。つっても、さっぱりわかんねーけどな。社内では他に何もなかったし」
「社内では?」
 香枝の眉が引き絞られる。失言だ。直己は額の真ん中に拳を当て、一瞬眼を閉じた。
「だから現在進行形じゃねーし、マジで付き合ってたわけでもないって」
「マジじゃないとか言えばあたしが平気になるって思ってんの? 遊び人発言すぎてめちゃめちゃ萎える。ていうかもっとちゃんと考えてよ。あんたが遊んだ女をあたしが知ってるわけないんだから!」
「落ち着けって、おい」
「今日は沙織んちに泊る」
 香枝は直己の右肩を突き飛ばすようにして脇をすり抜けると、ドアを開けて出ていった。大股で遠ざかる足音を聞きながら、直己はデスクに尻を乗せてため息をついたが、少し考えて立ち上がり、十九階のIT部に向かった。

「あ、帰ってきたか」
 再び十七階に戻ると、営業部の三宅が直己のデスクの傍に立っていた。
「なんか気になったんで来てみた。元気っすか?」
「お前時間ある? 一杯飲まね?」
「いいけど、宇田川大変だろ今」
「どーせなら一杯飲んでから徹夜する」
 三宅と共に隣のビルのブリティッシュパブに移動した。狭いパブ内のテーブルは先客に占領されていたので、イギリス式の立ち飲みスタイルに徹することにする。
 今日起こったことを手短に話すと、三宅は「はあ、大変だ」と呟き、ギネスのクリーミーな泡のついた上唇を指で拭った。
「まーでも正直、この『熱愛発覚』で泣いた女の子多いと思うよ。宇田川って罪つくりなヤツだもん」
「どこがよ」
「どこってなんか全体的に」
「あのな、職場恋愛とか面倒だから徹底的に避けてたし、後腐れねーのしか相手にしなかったし、こんなことされる理由なんかねっつの」
「へー職場恋愛避けてたんだ。じゃ籾山ちゃんは例外だったってこと?」
 直己は揶揄に満ちた三宅の顔を横目で見やり、そう、香枝だけが例外だった、と心の中で答えた。彼女は自分の存在が直己の心に占める大きさのことを、わかっていないのかもしれないが。
 確かに自分は女が好きだし、学生時代は相当の遊び人でもあったのだが、仕事人間へと変貌する種が土壌に撒かれたのも同じ時代だった。直己は大学間の大規模な交流イベントの企画運営を三年間に渡って仕切り、毎年八桁の収益を叩きだしていた。『人が動けば金が動く』という経済の基本原則を、二十歳の時には体得していたのである。
 会社という組織に組み込まれた当初は縛りのきつさに苦戦したが、上司に恵まれた幸いも手伝って、やりたいことをやる地均しを終えるのに一年もかからなかった。仕事は果てしないチャレンジの連続となり、茨を切り開いて進撃する愉悦の代償として極めて多忙になった生活の中で、女は「必要だが二の次」という存在に格落ちした。それを受容できる女は生憎この世におらず、泣かれても剣突を喰らわされても、自分を変えることはできないと信じていた。頭から信じ込んでいたのだ。香枝とこうなるまでは。
 真っ直ぐな女。「好き」と囁くときも、怒るときも、仕事をするときも、泣くときも、何一つ誤魔化しのない女だ。
 しっかりしている割に抜けているので、彼女を一人にしておきたくなかった。一緒に暮らしたい。もうこいつと結婚してもいいかな、と衝動的な提案までしてしまったのだが、結婚はおろか「やっぱり同棲ってだらしない感じがする。なるべく早く引っ越し先探すから」と却下されたのは残念至極なことである。
「でさー、宇田川」
 三宅に呼ばれて我に帰った直己は、「ん」と聞いて残りのギネスを飲み干した。
「大阪でのデートは楽しかったっすか?」
「ブルータス、お前もか」
 直己は吹き出し、「めちゃくちゃ楽しかった」と本音を言った。
「あ、そーだ。後でお前の彼女に電話かけていい? 聞きたいことあんで」
「別に断んなくていいよ。もともと宇田川の友達なんだし」
 一杯だけ飲んで三宅と別れ、夏の粘りつくような夜風に吹かれながら、直己は昨日のことを思った。
 人でごった返した大阪のミナミの街を歩く間、香枝は片時も直己の手を離さなかった。炎暑で顔を真っ赤にしながら幸せそうだった。幸せそうな彼女を見つめることが幸せだと柄にもなく思い、直己は言葉少なに彼女を見つめたり、活気のある街を眺めたりしていた。
 夕方にホテルに戻ると、香枝が東京に帰る時刻まで、一秒を惜しんで愛し合った。「お腹が空いた」「食い倒れの街に来てんのに、たこ焼きしか食ってねー」と口では言いながら、互いの肌のぬくもりを離せずにのめりこんだ蜜のような時間は昨日のことなのに、一夜明けたらこの状況とは、愚痴の一つも言いたくなるというものだ。
 直己は汗でじっとりと湿った首筋を撫でながら、三宅の彼女である悪友女子に電話をかけ、「お前さー日曜の『パルパラ天国』って番組観てる?」と聞いた。
「ちょっと何よいきなり。挨拶なし? 観てるけど」
「お前なら知ってるかと思って。一つ教えて欲しいんだけど」
 直己は、自分の物差しでは世界一重要と思われる質問を口に出した。


 夜通しの仕事のメドがやっとついたので、朝方に一旦自宅に戻った。今夜のパーティーのため、スーツに着替えなくてはならない。シャワーを済ませて身支度を整えていると、会社携帯にメールが届いた。
『突然のメール失礼します。籾山さんはやめたほうがいいと思います。自己主張しすぎるし、気が強過ぎるし、一部の人たちから嫌われてます。もっと女性見る目を磨いたほうがいいんじゃないですか』
「一部の人たちって、あんた以外の誰」
 直己は鼻で笑った。香枝へのメールと同一アドレスであることを確認して携帯を閉じ、再び出社した。IT部に出向いて、昨夜依頼した件の報告を受けた後、考え込みながら廊下を歩いていると営業部の連中と出くわした。
「おー、ウタちゃん!」
 揃って雀を見つけた猫のような顔になり、一斉に直己に飛びかかってきた。
「おっまえ俺らによく黙ってたなあ」
「どーやって籾山落としたの。男に興味ありまっせーんって顔してたのに」
「いてーよ。後で遊んだげるからとりあえず離そう」
 頭をもみくちゃにされながら、直己はつられて笑った。
「おっ、噂をすればなんとやら」
 一人が嬉しそうな声をあげた。財布と携帯を手に持った香枝が、こっちに向かって歩いてくる。直己がからかわれている理由がわかるのだろう、困惑と照れを努めて隠そうとしている。ノースリーブのシャツワンピースが、体の線を控えめに主張して女っぽい。
「籾山ちゃん、今日は一段とキレーっすねー」
「朝のチューしなくていいんすか?」
 陽気な冷やかしに「バカじゃん? 廊下占拠しないでよ。ジャマジャマ」と香枝は強気な笑顔で答えた。
「どこ行くの」
 と直己は聞いた。
「コンビニ」
 直己は営業連中を振り払って香枝の横を歩き出した。「きゃーお似合いよー」と声が飛んだが無視を決め込み、エレベーターホールの前で立ち止まった彼女に、「まだ怒ってんの?」と前を向いたまま聞いた。
「不愉快だけど、もう怒ってない」
 香枝は鼻でため息をついた。
「あのメール送ってきた人、完璧な片思いなんだと思う。そう思い直したの。攻撃があたしだけに向けられてるから」
「待ちに待ったご正解」
「イヤミっぽい言い方しないでよ」
 下りのエレベーターに乗り込みながら、香枝は会社携帯を開けてメールを再読した。
「ムカつくけど無視してればいいのかな。今後のしつこさ加減にもよるけど・・・」
 と言った途端に手の中の携帯が鳴り、新しいメールが届いた。
『いつも我が物顔で、仕事でも何でも自分が目立つことが第一のあなたは、彼にぜんぜんふさわしくないですよ。彼には陰で支えてくれる女性のほうが似合います。身を引いてください』



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